リバーズ・エッジ

リバーズ・エッジ

『リバーズ・エッジ』とは、岡崎京子による漫画作品、およびそれを原作とした実写映画である。原作は雑誌『CUTiE』にて1993年3月号から1994年4月号にかけて連載され、1994年6月に宝島社から単行本全1巻が刊行された。
女子高生の若草ハルナ(わかくさ ハルナ)と、河原に放置された人間の死体を秘密として共有するいじめられっ子の山田一郎(やまだ いちろう)を軸に、歪んだ現代を生きる若者たちのリアルな痛みや焦燥感を描いた作品である。
2018年2月16日は行定勲監督、二階堂ふみと吉沢亮の主演によりR15+指定で実写映画化された。映画版では90年代風の雰囲気を醸し出すために4対3のスタンダードサイズで撮影され、衣装にも当時の定番ブランドや古着が多数使用された。本作は第68回ベルリン国際映画祭パノラマ部門で国際批評家連盟賞を受賞したほか、第42回日本アカデミー賞にて吉沢亮が新人俳優賞を受賞するなど、国内外で高い評価を受けた。

hisahiro_ki8のレビュー・評価・感想

リバーズ・エッジ
9

映画を観ているような感覚になるコミック

歪んだ若者たちの何とも言えない青春が描かれています。読んだ後は、映画を観たときのような感慨深い気持ちになる作品です。

舞台は主人公のハルナが通う都内の高校。ハルナは「何でもいい人」と言われてしまうように、特に情熱があるわけでもなく、つきあっている彼氏に対しても特別な感情があるようには見えず、むしろ面倒に思っているようなフシがあります。そんなハルナに対して躍起になる彼氏の観音崎は素行が悪い人物で、問題を起こします。しかし、それでもやはりハルナにとっては、それも現実味のないもので、何か感情を強く動かされるものではないのです。

一方で、やはり同じようにつきあっている相手をそれほど愛せない少年、山田くんに対しては、ハルナは特別な感情を抱きます。そのハルナの心情がキーポイントとなっているのですが、明確な意志のようなものはなく、あくまで状況に対応するだけ。そして、山田くんとハルナを取り巻く周囲の人々は問題のある行動をとるようになっていき、ストーリーはクライマックスを迎えて静かに終わっていきます。

わかりやすく伝えたいことがある作品だとは思いませんが、哲学的な雰囲気があり、何となく「生きる」ということに思いを馳せるような漫画です。若者たちの壊れてしまった日常を、肯定するわけでもなく、批難するわけでもなく、生命として描いているように思います。その決して裁かない作者の視点が、この作品の芸術性を高めているのではないでしょうか。