ファンタジーなのに物凄くリアリティがあり深く考えさせられる漫画
まず、この作品の名前は知っているが内容を知らないほとんどの方は巨人と戦う戦闘漫画だと思っているだろう。しかし、実際は単なる巨人との戦いというのはこの作品の本質ではないのだ。たしかに、序盤は巨人との戦いがメインなのだが、この時点で異様な世界観が際立っている。まず、巨人という存在が全くの謎に包まれており、突如巨人が出現したというのだ。この巨人についての謎と未知なる存在である巨人の不気味さ、さらに徐々に明かされる世界の真相が序盤の醍醐味だ。そして何より人間一人一人の心理描写がとても丁寧で、細かい。それ故にいろいろな立場にいる様々なキャラクターに感情移入をしてしまうこともとても多い。さらに、この作品は正義、敵とは何なのかということを深く考えさせられる。現実での物事の捉え方まで考えさせられる程深いのだ。この作品は、現実社会で問題となっていることや、また歴史的にあった問題ととても内容がリンクしており、ファンタジーなのに本質的な内容は酷く現実的なのだ。ここから若干のネタバレを含むのだが、巨人の正体は人間が人間を巨人にしているという物であり、最終的には人間vs人間に終着する。この人間同士の戦いという内容になってからが、この作品の本題と言えるだろう。この作品を見ることで世の中の問題についての物の見方や視野が広がると私は思う。それくらい深く、読んで損はないと断言できる作品だ。