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ただのコメディーではなかった
ゾンビもの、そしてコメディーとなると、B級なのかな?とあまり期待はしておりませんでしたが、とても良い作品だったと思います。ゾンビになる過程や感染症について詳しく解説されることはありませんが、そのあたりはどうでもよくなってしまうほど、登場人物たちがとても魅力的でした。人間関係が複雑になるほど登場人物が多いわけではなく、主人公の「マイルール」が際立っていてすごくおもしろかったです。ゾンビが出てくる荒廃した世界なのに「シートベルトは着用」といった独自のルールが笑えました。そんな世界になるまでの主人公の生活が、オンラインゲームをしていて孤独、というところもおもしろかったです。アメリカで長く続くゾンビドラマでは、主人公はかっこよくてリーダーというイメージが強いですが、こちらの映画の主人公の「マイルール」は「ヒーローにならない」である、というところもなかなか現実的でおもしろく見ることができました。なにより、独自の「マイルール」を貫くからこそ生き抜いてこられたと豪語している主人公が、出会った女の子を助けるためにルールをやぶり、自分が欲しかった「家族」を手に入れていくというストーリーは痛快で、心理学的にもかなり深さがあったと思います。