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怖いというよりむしろ悲しい
戦後まもなく、夫が出征しておらず、子どもたちと広大に屋敷に住む女性が、家に自分たち以外の誰かがいることに気がつくという話です。それは幽霊なのか、それとも彼女の神経過敏か、という感じの話で、オチは、彼女たち家族のほうが幽霊だったというものでした。なかなか意外なラストでした。
たしかに、家族は家族間でしか話していないし、家にしかいない感じだけど、戦後だし、子供は日光に弱いし、家に引きこもらないといけないのかなと思うと不自然じゃなかったし、音が聞こえるという怪奇現象も幽霊側、人間側どちらにも起きる現象だというのも、ああ、たしかにと納得でした。
「シックス・センス」のときと思いましたが、死んだのにそれに気がつかないというのは、案外ありうることなのかもしれません。その真実を知ってからは怖いというより、むしろ悲しい話だなと思いました。彼女たちにとって、家に住み着きつづけるのが良いことなのか、悪いことなのか、分かりません。でも、母として、子どもを守りたい、家からよそ者を追い出したいという気持ちになるのも分かります。
なんだか、夫がいなくなり、母としてなんとかしないと、という強がりというか、気を張っている感じがして、彼女に平穏が訪れてほしいなと思ってしまいました。
でも、ホラーとしてはあまり怖くありません。