ジョーカー / Joker

ジョーカー / Joker

『ジョーカー』とは、2019年にアメリカ合衆国で作成されたスリラー映画である。DCコミックス『バットマン』に登場するスーパーヴィランであるジョーカーが主人公となっており、2019年10月4日に日米同時公開された。舞台は、まだバットマンが誕生する以前の、不景気により治安の悪化する1981年のゴッサム・シティ。後のジョーカーことアーサーは、発作的に笑い出してしまう病と病弱な母親を抱えながら、一流のコメディアンを目指して貧しい生活を送りながらピエロのアルバイトを続けていた。

k_yuma1のレビュー・評価・感想

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ジョーカー / Joker
10

リアルすぎる「ジョーカー」

この映画は、アメコミのバットマンに出てくる、最強の悪役「ジョーカー」がどのようにして誕生したのかを描いた作品です。
主演はジョーカー演じるホアキン・フェニックス。
そして第79回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品、DCコミックスの映画化作品としては史上初めてとなる、最高賞の金獅子賞を受賞した程の話題作です。

まず、冒頭でジョーカーが、自分でピエロのメイクをしながら指をグッと口の端に入れ、無理やり笑顔を作るシーンがあるのですが、そこから引き込まれます。泣いている顔を無理やり笑顔にしたような、痛々しく悲しい笑顔なのです。
この後に「ジョーカー」と呼ばれる主人公は「アーサー・フレック」という1人の大道芸をしていた男性でした。
アーサーは脳の障害で、突然笑い出してしまう病気を持っており、それがネックで周りから不気味がられ、常に1人でした。
それでも、献身的に衰弱した母親の介護をし、病んでしまった心をカウンセリングや薬を服用しながら保ち、なんとか生活をしている日々。
いつかは誰かが認めてくれるはず、と健気に毎日頑張って生活していたのですが、アーサーの暮らしている街は崩壊寸前。貧富の差は開くばかりで、誰も弱者のことは見ようとしませんでした。
ある事件がきっかけで、どんどん考え方が変わっていくアーサー。
そして、隠された真実を知った時、アーサーは自分の人生は「悲劇」ではなく「喜劇」だと思えるようになるのです。

ずっと、救われない主人公を観ているのもとても辛かったですが、この映画の時代背景も現代に通じるところもあり、とてもリアルでゾクゾクしていました。
「ジョーカー」みたいな人は、アメコミの中だけでなく、現代にも存在しているのかもしれません。
そのくらいリアルでした。
賛否分かれる作品だと思いますが、今、この瞬間に観ておかなくてはいけないような気がする、そんな名作です。