もう一度あの頃に戻れたら
主人公の少女の様に場面緘黙症の様な症状を持っていてもいなくても、人に自分の本当の想いを伝えるのは難しいのだと改めて気付かされる作品です。
担任に強制され音楽祭実行委員が4人クラスから選ばれます。元はお喋りでしたが過去のトラウマから話す事が出来なくなったヒロイン、音楽一家に生まれるも両親が離婚し孤独な少年、その少年の元恋人で人気者のチアリーダーの少女、ケガをし投げられなくなった野球部の野性味あふれる元エースの少年、といった面々です。
彼らはクラス内での立ち位置は違えど、それぞれが青春期特有の恋や部活内での悩みを抱えています。委員の仕事を通じて彼らはお互い本当の自分を出し合い、それがクラス全体に影響を及ぼしていきます。
本番の音楽祭のミュージカルで、ヒロインは仲間達の支えで声を取り戻す事が出来ました。しかし、それは初恋を失う、という代償がありました。
全体的にヒロインがなかなか話せない事にもどかしさを感じる事が多かったのです。しかし、誰もが失った青春の輝きや大きさにハッとさせられる作品です。委員会や部活や学業や恋に、またもう一度学生時代の仲間達と本気でぶつかり合って成長出来たらな、とほろ苦く感じる佳品です。