映画でも切なくも奇怪な世界
夢遊病の娘を探すために霧の街、サイレントヒルに向かったローズ。霧と降る灰によって辺りはよく見えず、不気味な雰囲気が漂っている。
奇妙な世界と得体のしれない謎の怪物が主人公を襲う。
残酷な仕打ちを受ける少女、その激しい憎しみと恨みが解き放たれて形成された暗黒の世界。
娘を追うと同時に、この美しくて恐怖の世界の謎が少しずつ分かっていく。この作品をただのホラー映画といってしまうのは勿体なく、物語や世界観まで全てが作りこまれ、必ず見た人をサイレントヒルの世界へ誘ってくれる。
登場人物が抱えるトラウマであったり人間の成長など、色々な要素が詰め込まれていて、サイレントヒルに登場する怪物と人間が抱える心の闇の恐怖をも感じることができる。
欧米にはゾンビ、モンスターが出現するホラー映画はたくさんあるが、それよりもこのサイレントヒルは少し変わった世界観を感じることができる。
驚かせるための無駄な効果や演出もあまり取り入れてないことが、もっとこの作品をリアルにしてくれているのだと感じた。
本編を終えるころには、今、あの霧の世界はどうなっているのかと、名残惜しささえも感じてしまう。
原作ゲームファンにもきっと十分楽しんでもらえるはず。
視覚的にも内心的にも十分な作品だ。