ミュージカル初心者におすすめ
19世紀に実在した興行師P・T・バーナムの逸話をもとに作られた作品です。彼はフリークと言われていた、普通の人とは違う身体的特徴をもった人々を集めてサーカスを開き、大成功を納めました。“サーカス“と聞くと楽しそうなイメージが湧きますが、当時は俗にいう見世物小屋だったのです。バーナムはある思い付きから、人から除け者にされるような身体的特徴を持つ人々を集めました。彼らはその見た目ゆえに、普通の人よりも多くの苦しみや悲しみを経験してきています。しかし彼らはその見た目を逆手にとった”サーカス“で、人々を感動させることで自分たちの存在を肯定しようと奮起します。彼らを率いるバーナムも、間違いや失敗を繰り返しながら困難に立ち向かっていきます。¥n物語はミュージカル形式で進んでいきます。一つ一つの曲や演出のクオリティが高く、ミュージカルになじみのない人でも、その技術の高さや映像美に魅せられミュージカルの楽しさを感じることができるでしょう。個人的には、主人公バーナムとフィリップがビジネスの契約を交わすシーンが好きです。ビジネスの重い話をも歌で表現しています。そのシーンはバーカウンターで繰り広げられ、二人のひとつひとつの動作音すべてが曲になるような作りになっています。彼らはビジネスの関係でお互い心の内を探り合うのですが、協力するか迷っているフィリップの心情が、お酒をグッと飲み干す動作やピーナッツの殻を投げ捨てる動作などで表現されています。このシーンは特にかっこよくて、スクリーンから目を離せませんでした。全体を通して、物語としてのできはかなり秀逸だと思います。ミュージカル作品をなんとなく避けていた人には特に、見てほしい作品です。