お父さんのお話
作り話ばかりする父親とその父親を疎ましく思う息子の話です。うまくいっていない親子が親子関係の修復を図る話です。父親の話はたしかに奇想天外でうそばかりですが、どこか真実味があって、とても面白いものでした。他人の私なら、自分の半生をそのように話す人を面白い人だなと思うと思いますが、それが自分の父親ならちがうのだろうなと思いました。たしかに、真剣に聞いてるのに妄想みたいなことばかり言われたら腹がたつかもなと思いました。息子は父親とは違い、現実的な人として描かれていましたが、父親の頼みを聞いて、とてもいい物語を聞かせていました。やはり、子どもの頃、父親に物語を聞かされていたから、物語づくりの基礎があったんだろうなと思いました。どんなに離れていても、どこか似てるところがあるなんて、ああ、親子だなと思うし、見ていて微笑ましかったです。父親の葬式に、父親の話に出てきた人々が現れたのもとても素敵でした。父親は事実に着色はしてたけど、嘘はついてなかったのです。そういうふうに人生を物語に変えられるなんて、すごく心の豊かなお父さんだったんだなと思いました。私はたいした人生も歩んでないけど、子どもにおもしろおかしく伝えられたらいいなあと思いました。