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順風満帆ではない天才のサッカー大河ドラマ
スポーツ漫画には大きく二つの路線があります。一つはスポ根モノからの流れで、必殺技や超人的な能力を駆使して見栄えと勢いを重視した路線。もう一つはそのスポーツを丁寧に描写し、派手さはないもののリアルな共感を引き出す路線です。本作『BE BLUES!?青になれ?』はカテゴライズするならば後者になります。元々、三大少年誌の中でサンデーは後者の、ジャンプやマガジンは前者の傾向が強いです。
さて本作は主人公である一条龍がサッカーで日本代表を目指す姿を幼少期から長い視点で描く作品となっています。サッカー版の『メジャー』と言えばイメージしやすいかもしれません。
小学生時代、天才的なサッカーのセンスを持っていた龍は、交通事故で2年間まともに歩けなくなるほどの大けがを負います。そんな状況でも決して諦めず前向きに、中学、高校と着実に成長する龍の姿には、誰しも勇気づけられることでしょう。
この中で特徴的なのが先述の通り、リアルで地に足がついたサッカー描写なのです。本作には、現実には実現できない技術は登場しません。実現可能な範囲内で最大限に努力しているからこそ説得力が生まれ、劇的な試合の展開に重みが加わります。そういうリアルなサッカーを深く楽しみたい方には、ぜひお勧めしたい作品です。