平等や差別を深く考えさせられる作品
2018年マンガ大賞の大賞を受賞し、2019年10月にはアニメ化が決定しているビースターズ。登場人物は全て多種多様な動物たちで、彼らが人間のように生活している世界が舞台です。主人公のハイイロオオカミのレゴシは、ある日ドワーフウサギのハルに興味を持ち次第に惹かれていきます。しかし肉食動物は草食動物を食べる本能があり、レゴシは必死でその本能と向き合い、自分の中の欲とその欲に勝てなかった食殺を起こしてしまった者達と戦っていきます。一見動物たちの世界の話だと思いますが、異種族恋愛や草食動物や肉食動物のお互いの差別、上下関係など、全て人間の世界で起こっていることがこと細かく描かれています。当たり前のように同族と結婚しなければならないという世間の目の中、異種族と恋に落ちてしまったカップルたちの生きづらさ。弱い者は強い者に守られて生きていかなければならないがために強い者に服従している社会。多様な種類の者たちがいる中でどのように上手く生きていくのか、全てが深く考えさせられるものでした。しかし全てが人間とリンクする訳ではなく、肉食動物の彼らは時に友達をも食べてしまいます。動物達のそれぞれの苦しみや悩み喜びといった動物事情も読んでいて新鮮でおもしろいです。共感する部分が多くあり、キャラクターも魅力的でオススメの作品です。