どこから読んでも面白い!
これぞ手塚治虫の不朽の名作。
彼の代表作を挙げたらキリがないが、多くの人に読まれ、愛され続けている手塚作品の一つだ。
一話完結の構成で、それぞれのエピソードに命の尊さを訴えるドラマがある。まさにどこから読んでも面白い。
読んだことのある人であれば、心の中にいつでも思い出せるストーリーがひとつはある、そんな作品だ。
主人公のブラックジャックこと、間黒男は無免許外科医。
天才的なメス捌きで、金さえ積めばどんな病気でも治してしまう。
誰にも治せない難病・奇病、表の医者には扱えないワケありの患者など、様々な登場人物がブラックジャックを訪れるが、病気だけでなく人間の中にある欲深さや愚かさとも向き合っていく。
また手術シーンなどは、医学の道を歩んだ手塚治虫だからこそのリアルな描写が目に焼き付いて離れない。脳みそのシワ、毛細血管の一本までもが緻密に描かれている。無脳症という奇病の赤ん坊の描写は、子供の頃に見てトラウマになった人も少なくないのではないだろうか。
どんな病気でも治してしまう、神様のような存在。
死という恐怖から救ってくれるブラックジャックのような存在を、心のどこかで我々は待ち望んでいるのかもしれない。
秋田文庫では全17巻。老若男女問わず楽しめる作品だ。