THE甘酸っぱい青春!
美術大学を舞台にした学生たちの恋愛、人生を描いた羽海野チカ先生の代表作です。
美術大学という他の大学とは違い、自分の才能の有無がわかりやすく具現化されてしまうある意味残酷な環境で、自分はどうやって生きていくか、何ができるのかを登場人物たちが苦悩しながら模索していきます。
そこに複雑な恋愛感情が絡み、物語を重層化していってるのがこの作品の最大の魅力です。どの恋愛も簡単にはいかず、登場人物たちの優しい関係性の中で、みんなが悩んだりあがいたりして、自分なりの解決策を見出していきます。その結果はすべてがわかりやすいハッピーエンドではありませんが、それでもそれぞれが悩んだ末に出した結論はどれも美しいな、と感じられます。
うまくいかない恋愛、才能のない自分、ままならない人間関係、迫る4年間という大学生という名前に守られた期間の終了…若い時に誰もが経験したあのどうしていいかわからない悩みが、これでもかと盛り込まれた「THE甘酸っぱい青春」といえるべき内容です。
シリアスなテーマも多いですが、ギャグがふんだんに盛り込まれているため、必要以上に読後気分が落ちたりする心配はありません。
映画化、ドラマ化もされた、傑作青春群像劇です。