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原作通りに描かれなかった残念な作品
2006年7月に東宝から劇場公開された、スタジオジブリの作品「ゲド戦記」。今作には原作がある。アーシュラ・K・ル=グウィンが1968年~2001年にかけて出版した小説だ。日本では、岩波書店から発行され、200万部以上も売り上げている。スタジオジブリによる劇場版は、原作小説とは異なる脚本だった。それにより、アーシュラ・K・ル=グウィンのゲド戦記ファーストリポートという文章で、意に反する内容だと評されてしまった。
原作小説では、影と戦ったのはゲドという少年だったのに対し、ジブリの劇場版ではアレンという少年に変更されている(しかもアレンの声優の演技がとてもぎこちなく、不自然)。更に、原作小説には無かった「父親を殺してしまった」というストーリーに改悪され、タイトルこそゲド戦記になっているが、全く別物のような映画になってしまったのだ。このジブリ版ゲド戦記の脚色をしたのが今作の監督を務めた、宮崎駿の息子・宮崎吾朗だ。宮崎吾朗はコクリコ坂も監督しているが、コクリコ坂には宮崎駿が関わっており、ゲド戦記ほど支離滅裂さを感じない。ゲド戦記に関しては、ジブリ作品とは思えない。登場人物の表情の乏しさや、声優の配役ミスなど良くない点が重なった残念な作品になってしまった。