椎名林檎という音楽の領域について。
『無罪モラトリアム』『勝訴ストリップ』の二枚を繰り返し聴けば椎名林檎の魅力はある程度理解できると思います。全曲がCMでタイアップされているかのようなポップな曲を集めた無罪モラトリアムに対して、まさに林檎ロックを炸裂させた印象の勝訴ストリップ。おそらくは多数の人間はデビュー作である無罪モラトリアムを支持するのではないかと思いますし、最初に聴くのは無罪であってほしいと思います。無罪を充分に堪能した上で勝訴を聴いた方が100倍楽しめると思います。非常にこだわりを持って作られた楽曲と曲順の構成となっているので、最初はシャッフルリピートでは聴かないでほしいですね。無罪の『正しい街』に始まり、勝訴の『依存症』に終わる聴き方が間違いなくベストです。シングルカットの代表曲よりもオリジナルアルバムに収録されている曲の方が好きになるのが多かったりするので。それは椎名林檎だけに限りませんが。好きな曲はいっぱいありますが、最高傑作となると色々な意見や見解の相違が出て当然だと思ったりもします。大切なことは椎名林檎の音楽を生で聴ける時代に自分が存在できたという一点に尽きるでしょう。エンターテイナーという意味合いにおいては現代版『美空ひばり』と言っても過言ではないと思います。