ラストエンペラー

ラストエンペラー

『ラストエンペラー』(原題:The Last Emperor)とは、1987年に公開されたイタリア、中華人民共和国、イギリス、フランス、アメリカ合衆国の合作による叙事詩的映画および歴史映画である。清朝最後の皇帝であり、後に満洲国皇帝となった愛新覚羅溥儀の生涯を描いた作品であり、ベルナルド・ベルトルッチが監督と脚本を手がけた。
映画は、1950年にソビエト連邦から中華人民共和国へ送還された溥儀が戦犯収容所の洗面所で自殺を図る場面から始まり、そこから過去の人生を回想していく構成となっている。1908年に西太后によって清朝皇帝に指名されて幼くして即位した日々から、中華民国の成立を経て紫禁城を追われるまでの過程、そして日本の協力を得て満洲国の皇帝として即位し、傀儡として翻弄されていく姿が描かれる。さらに、第二次世界大戦の終結に伴う退位やソ連への抑留、戦犯としての思想改造を経て、文化大革命の時代に一市民としてひっそりと世を去るまでの波乱に満ちた半生が綴られている。
観光名所として知られる北京の故宮(紫禁城)において史上初となる大規模なロケーション撮影が行われ、中国共産党政府の全面協力のもとで圧倒的な映像美が表現された。第60回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、撮影賞、脚色賞、編集賞、録音賞、衣裳デザイン賞、美術賞、作曲賞のノミネートされた9部門全てにおいて受賞を果たすという歴史的な快挙を成し遂げた。また、ゴールデン・グローブ賞でもドラマ部門作品賞など多数の賞を受賞し、日本からは坂本龍一が音楽プロデューサーとして参加するとともに甘粕正彦役で出演し、日本人初のアカデミー作曲賞を受賞するなど社会的にも大きな話題となった。

6usarunoatama09のレビュー・評価・感想

ラストエンペラー
10

芸術的な歴史大作

『シェルタリング・スカイ』、『リトル・ブッダ』と並んで、巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督のアジア3部作と呼ばれる作品の中の一つとなっています。中国清朝最後の皇帝・溥儀の激動の一生を描き、1987年度のアカデミー賞で9部門を受賞し、音楽を担当した坂本龍一も作曲賞を受賞しました。

この作品で有名な場面は、主人公の溥儀が幼いながらに皇帝となったときの即位式の場面です。まだ赤ちゃんと言ってもいいような小さな溥儀が鮮やかな黄色の幕をくぐり抜けると、段上から見下ろす先に広がっていたのは膨大な数の臣下達が整列する姿でした。色とりどりの着物を着た臣下達が一斉に頭を下げる様子は圧巻で、ハッと息を飲む素晴らしさです。この色使いの美しいドラマチックなシーンは映画史に残る名場面と言われています。

しかし溥儀のそんな輝かしい栄光は長くは続かず、名ばかりの皇帝となって城の中だけで生活することを強いられるようなります。その後、城から出されたのちも、時代は第二次世界対戦を控えており、その歴史の波に揉まれていくこととなるのです。ひとりの人間としての類い稀なる人生に驚くと共に、歴史を目の当たりにして厳粛な気分になる映画です。