精巧に作られたSFエンターテイメント大作
リュック・ベッソン監督が長年温めてきたアイデアを映画にした作品です。細部までこだわった未来都市のデザインや、ジャン=ポール・ゴルチエが手がけた衣装など、斬新でクールな映像に引き込まれます。そのエッジの効いたスタイリッシュな世界観には、90年代のカルチャーが色濃く現れています。
特に衝撃的なのは主演のミラ・ジョボビッチ演じる、リールーの美しさ。至高の存在として現れた彼女はまさにパーフェクトな佇まいでした。燃えるようなオレンジ色の髪に、体のラインにぴったりとした衣装が、モデル出身の抜群のプロポーションを際立たせ、観る者を圧倒します。そして頭脳や身体能力が人間よりも遥かに高いという高度な生命体でありながら、悲しみや孤独を感じ、愛を求めるという脆さも持ち合わせており、このキャラクターを魅力的なものにしています。また、ミラ・ジョボビッチとベッソン監督がプライベートで恋愛関係にあったことも話題となりました。
リールーのキャラクターだけではなく、他の登場人物も濃いキャラクターが揃っています。ブルース・ウィリス演じる元軍人のタクシー運転手、ゲイリー・オールドマン演じる個性的な悪役、クリス・タッカー演じる超騒がしいラジオパーソナリティーなどなど、まるでコミックの登場人物のようなキャラクターばかりで楽しめます。ストーリーにはそれほど深みがあるわけではありませんが、愛をテーマにした美しい作品です。