誰かを強く想うことの切なさに美しさを感じる作品
水城せとな原作の漫画を映画化した、行定勲監督による二人の男性の恋愛を描いた作品です。
大倉忠義演じる主人公大伴恭一と、大伴を一途に思い続ける成田凌演じる今ヶ瀬渉を中心に物語は進んでいきます。
大伴は優柔不断でかなり流されやすい性格で、不倫を重ね続けているような男性です。同性は恋愛対象ではなかったものの、その性格からか成り行きで今ヶ瀬と身体の関係を持ってしまいます。大伴は見た目と人当たりの良さから思いを寄せられることが多いです。優しい人間ではあるのでしょうが、何よりも移り気な所があるため周りの人を傷つけてしまうという感じで、クズな男という印象です。
今ヶ瀬はそんな大伴を七年間一途に思っています。大伴のどういう所にそこまで惹かれるのだろうかとも思いましたが、人を好きになるのは理屈ではないのだろうと感じました。成田凌の演技は、強く思い続ける今ヶ瀬のいじらしさやかわいらしさをうまく表現していたと思います。
最終的には大伴にとって、同性という抵抗を超え、ずっと一途に大切にしたいと初めて強く自分から思える相手が今ヶ瀬であったのではないかと感じました。
二人の心理描写と映像に切なさを感じ、それが美しい作品でした。