切磋琢磨する二人
主人公である桜木花道はことごとくスポーツマンが彼氏であるという女子にフられ続けてきたことでスポーツが嫌いな湘北高校の高校生。そんな花道がヒロインである赤木晴子に一目惚れし、晴子に誘われ湘北高校バスケットボール部に入部する。そこには同学年で中学から注目されていた選手である流川楓がいた。晴子が流川に憧れていることがわかり、花道は必要以上に流川に対してライバル心を持つようになる。しかし、中学から注目選手であった流川と初心者である花道の力の差は歴然。それでもマネージャーである彩子や安西監督の元、反抗しながらも練習を積み重ね徐々に上達していく。それでも流川は花道のことは気にとめていない様子であった。しかし、試合や練習の中で花道のプレーがどんどん良くなっていき、流川も意識するようになっていく。そして、夏のインターハイ予選での海南大付属高校戦、インターハイ出場のかかった陵南高校戦、インターハイ2回戦での山王工業戦などを通して花道と流川はお互いを認め合っていく。そして、一番印象的なシーンは何といってもインターハ山王工業戦のラストシーン。終始絶対王者山王工業に圧倒され、流川でさえも山王工業のエースである沢北栄治に歯が立たなかった。そんな状況の中でも花道は奮起し、いつも以上のプレーをみせていた。しかし、ルーズボールを取るために飛び込み、机に背中を強打し負傷してしまう。安西監督に下がるように言わるがそれでも「俺の全盛期は今なんだよ。」という名言とともにプレーし続ける。その姿にチームメイトも刺激され、試合終了間際1点差まで追い上げる。流川がボールを持ち、相手陣地にドリブルで切り込むと外でフリーになっている花道の姿を見つける。いままでお互いにパスを出すことがなかったが、ここで初めて流川が花道にパスを出す。花道の手にボールが渡り、インターハイに向けてずっと練習してきたミドルシュートを放つ。きれいな放物線を描き、ボールはゴールに吸い込まれた。そこで試合終了。流川と花道はお互い見つめ合い、初めてのハイタッチをする。ハイタッチの音が今にも聞こえてきそうな描写であった。そこに仲間も加わり喜びを爆発させる。最初は花道の一方的なライバル心であったが、徐々にお互い認めるようになり、切磋琢磨したことで山王工業に勝つことができ、ハイタッチにつながるというこの一連の流れを意識しながら読むとまた違う作品の見え方ができるかもしれない。