壮大な世界観を楽しませてくれるファンタジーアニメ
原作は小野不由美先生の小説です。アニメの方は全体を通して、景王として異世界に連れて行かれた陽子の成長物語としてまとまっているなという感じです。古代中国を思わせるような舞台、不老不死になる王、王を選び王を補佐する争い事や血にとても弱い麒麟、天上にある城、麒麟に使える妖魔と人や村を襲う妖魔などファンタジー要素にあふれています。でも、原作を含めこのアニメがずっと好きなアニメの1つである理由は、名言が多いことです。景王として残るべきか恋しい生まれ育った日本に帰るかで悩む陽子に対して「分からない時は自分がやるべき方を選んでおくんだ。同じ後悔をするなら軽い方がいいだろ」という楽俊の言葉とか、幻を見せる剣を封じるための鞘を作り直さないといけないと言われた時に、時には見たくないものを見せる心のようだと言った後の「心に鞘はいらない」というはっきりとした陽子の言葉とか。「伏礼を廃す」という王の最初の命令の背後にある陽子の考えや願いなど、考えさせられます。アニメの絵自体は全体的にくすんだ感じで、華やかさもなく、絵が崩れていることもあるのが、正直残念なところではあります。それでも、何度見ても飽きず、楽しむことができます。「月の影 影の海」と、直接その続きにあたる「風の万里 黎明の空」は原作ともに名作です!