海外スタジオが手がけたオープンワールド侍アクションゲーム『ゴーストオブツシマ』の魅力
・本当に海外スタジオが作ったの⁉︎鎌倉時代の日本を舞台とした非常に高い完成度を誇るゲーム
『ゴーストオブツシマ』はアメリカのゲーム開発スタジオ「サッカーパンチプロダクション」が手がける鎌倉時代の日本の対馬を舞台にしたオープンワールドアクションゲームです。日本に対するモンゴル帝国の侵攻「元寇」を題材とした珍しいゲームで、歴史や文化に詳しい日本人が手がけているんではないか、と思わせるほど非常に細やかな描写が話題を集めました。さらに、ただ史実を忠実に再現するだけではなく、ゲームならではのダイナミックなアクションやドラマ性のあるストーリーなど、現代人にもわかりやすいような文化表現を織り混ぜ、しっかりエンタメとして昇華させています。非常に人気のある作品でアクションゲームとしての評価も各メディアで上々の結果です。このレビューではアクションゲームとしての所感ではなく、オープンワールドゲームとしてどうなのか、を取り上げていきます。
・高い完成度の理由は堅実なゲーム作り
『ゴーストオブツシマ』は前述した独創的なテーマでありながらゲームとしては非常に堅実な作りになっています。オープンワールドゲームの課題を一覧表にまとめ、ひとつひとつ解決していった、そういった表現が非常に合います。例えば、オープンワールドゲームのレビューにたびたび挙がる話題として「広さと密度」があります。広さとはプレイできるマップの広さというそのままの意味で、密度とはそのマップで体験できるゲーム体験の数です。冒険できる舞台が広いとどんな体験が待っているか非常にワクワクしますがその密度が薄いとなにもないマップにすぐに飽きてしまいます。「ゴーストオブツシマ」ではそうならないような工夫が至るところに見てとれます。対馬という小ささ島を舞台にしていますが、その中には日本の四季の移り変わりを思わせる非常に美しい風景が広がっており、見るものを圧倒します。また、オープンワールドゲームが直面する移動という退屈な作業に対する解決方法もいたってシンプルです。移動スピードが速く、いつでもどこでも呼び出せる馬を最初から持たせ、行ったところであれば無条件でファストトラベルが可能です。さらにファストトラベル時のロード時間が非常に短く、ゲームに対する没入感を阻害させません。このロードの速さはSNSを中心に非常に話題になりました。ひとたび馬を走らせれば前述した美しい風景が映りかわり、ランダムなイベントや収集物集めなどマップの密度が濃いことを実感します。アイテムを拾う時は馬から降りる必要がなくストレスを感じることがないため、アイテムを集めながらついつい寄り道してしまいます。そうするとまた新しい発見がある...このようにプレイヤーを飽きさせないような導線の引き方がとても上手いと感じました。また、ミニマップを表示せず、目的地へのガイドは風のエフェクトのみにすることで目線を一点に集中させないことも飽きさせない工夫のひとつだと感じました。以上のようにオープンワールドゲームとして新しいことに挑戦するというよりは、今までリリースされてきたオープンワールドゲームの課題を解決した堅実なゲームと強く印象に残りました。
まとめ:オープンワールドゲームのニュースタンダードになりえる作品
オープンワールドゲームとして非常に完成度が高いゲームですが、ロード時間の短さ以外ま新しく革新的な機能やゲーム体験を得ることはあまり感じられません。しかし、オープンワールドゲームの課題を解決したと思える飽きのこないゲームデザインはこれからリリースされるオープンワールドが比べられる基準となりえる作品と言えます。『ゴーストオブツシマ』は各メーカーが新しいCS機をリリースした新しい時代にふさわしいニュースタンダートのオープンワールドゲームと言えるでしょう!