ポケモンが「いる」という感覚に浸らせてくれる作品
ポケモンと呼ばれる不思議な生き物たちが人間と共に共存している世界。そのポケモン同士を戦わせる『ポケモンバトル』を通して主人公が成長する様を描くRPGシリーズのひとつだ。
この作品には、通常のRPGでボスキャラに当たる『ジムリーダー』いうキャラクターたちと、その上に立つ『チャンピオン』という存在がいる。彼らは主人公たちポケモントレーナーの『ポケモンバトル』の実力を試すという役割を持っている。
彼らとのバトルやポケモンバトルのライバルとなるトレーナー達とのバトルを通して、主人公は成長していくことになるのだが、そのストーリーにもキャラクターの動きという要素が加わってくることで、キャラクターたちの存在感をくっきりと浮き上がらせているのだ。
またゲーム中には『ポケモンキャンプ』という機能がある。
これは旅の道中で、手持ちのポケモンを外に出して、その様子を見守ったりすることができるのだが、旅に出た当初はあまり仲が良くなかったポケモン同士が終盤になるととても仲が良い様子を見せていたりすることがある。それはまるで、ポケモン同士が本当に関係を築いているかのように感じてしまうのだ。
人間とポケモンの関係は『なかよし度』という形で旧作から視覚化されていたが、このような形でポケモン同士の横の関係を見せてくれるのは見事だろう。
ゲームボーイのドット絵で作品世界がすべて表現されていた頃からポケモンをやっている筆者にとって、前作である『サン・ムーン』よりパワーアップした、肉体の動きも含めて表情豊かに描かれる3Dでのポケモンと人間キャラクター達の姿には衝撃を受けた。ポケモンと人間がどのように暮らしているのかという世界観を様々な姿を介して様々な形で描くことに成功している作品だ。
ポケモンという生き物と人間とが共存している世界観を感じたいという人には是非おすすめしたい作品である。