衝撃的なタイトルはフィナーレに
『コレットは死ぬことにした』は白泉社『花とゆめ』に2014年から2021年に掲載されていた、幸村アルトによる少女漫画。
薬師の主人公「コレット」が忙しすぎる毎日に嫌気がさし、つい魔が差して井戸に飛び込んでしまう。しかしなんと井戸は冥府と繋がっていて……。
冥府を統べる王の「ハデス」と出会い、彼の看病をすることでコレットは「死」や「生」を薬師としてより一層考えるようになる。
「死ぬことにした」という少し衝撃的なタイトルだが、中身はコレットの薬師としての「お仕事漫画」でもあり、ハデスとの「恋愛漫画」でもあり、そして生死についても考えさせられる、深い内容となっている。
そしてこの「死ぬことにした」というキーワードは、先ほど説明したコレットと冥府の繋がりだけではなく、フィナーレでも重要な意味を持つ。「ああ、こういうこと……!」と納得し、「最後まで読んでいてよかった!」と思えるため、20巻とボリュームのある作品だが一気読みにおすすめしたい作品。
なによりも可愛らしい冥府の住人とハデスをはじめとする面白い神々たち、そしてコレットと同じく薬師の仲間とその患者たちと、魅力的なキャラクターたちがいきいきと描かれており、きっと誰かに共感し、誰かを応援したくなる。そんな愛おしいキャラクターたちが紡ぐ、素敵な物語だ。