二ッ星の料理人 / Burnt

二ッ星の料理人 / Burnt

『二ッ星の料理人』は2015年にアメリカで公開されたヒューマンドラマ映画である。料理の世界を舞台に、孤高の天才料理人・アダムの挫折と成長の軌跡をたどる美食エンターテイメント作品だ。酒とドラッグに溺れ転落したアダムは、再起を目指してロンドンでレストランをオープンさせる。完璧な料理を追い求めようとするアダムは周囲とぶつかり合いながら、完璧なだけでは人の心を動かせないことに気付いていく。天才だが横暴なシェフが、出会った仲間との絆や恋を経験し、人として成長していく姿を描いた心温まるヒューマンドラマだ。

nzr13のレビュー・評価・感想

二ッ星の料理人 / Burnt
9

孤高の天才料理人とその仲間の葛藤と成長を描いた良映画

孤高の天才料理人が、その癖の強さから順調に築いたキャリアをぶち壊し、その後再起を果たすため、仲間と共に歩んでいく姿を描いた良映画。
主人公である料理人は、生来の癖の強さと、至高いただきを目指す姿勢から、仲間とのトラブルも多く、孤立してしまいがち。自分の高い要求を自分自身にも課していて、達成したいと思っているのに達成できず、そのイライラを仲間にぶけてしまう。特に、ミシュラン審査員(とおぼしき客)が来店した時のシーンは印象に残る。三つ星をどうしても取りたい、そのために多くの犠牲を払って努力をしてきた。けれど、自分の要求に仲間が答えてくれない…。周囲に当たり散らす主人公、そして厨房のやりとり、このシーンはいつ観ても身につまされる思いになる。
結局、仲間の裏切りによって、ミシュラン審査員への料理提供は失敗に終わる。どん底に落ちた主人公は、自暴自棄になり、逃亡してしまうが、その窮地を救ったのは、同じく天才料理人で、以前から鎬を削っていたライバルだった。
仲間との衝突、ライバルとの攻防、そして孤立を経て、それぞれの思いを知った主人公は成長し、再び、ミシュラン審査員に臨む。最後のシーンは、厨房だけでなく、接客スタッフも含めた全員が一致団結してすばらいしチームプレーを発揮する。

プライド、挫折、葛藤、そして相互理解と成長。何度観ても感動を覚える作品だ。