9
言語の融合も音楽の1つ
日本の音楽シーンを語る中で、エキゾチックな音楽スタイルを見事に融合した「mーflo」(エムフロー)。
メンバーは3人でラップのVERBAL、DJの☆Taku、紅一点でボーカルのLISA。
彼らの音楽性はよくあるラップシーンの典型的なスタイルであることは間違いない。しかし、他の物とはかけ離れた楽曲の完成を感じてしまう。それは日本語と英語の融合をしている点が心地よいからである。
今の時代、国際化が進み語学を覚える人は少なくないが、メンバー内にハーフがいて、3人が全員、インターナショナル・スクールを出ており、英語の能力が上級者を超えるグループはそうはいない。
その為、日本語の表現と英語の表現の区分けがしっかりとなされており、メロディーラインを考慮したり、ストレートに歌詞をぶつけてきたり、様々な形で音楽の表現を使い分けている。
多くの場合、歌詞の象徴的な一部の部分を英語にして、前後の日本語の歌詞とは意味合いが異なったり離れたり、日本のポップシーンでは英語は歌詞の飾りにしか見えない部分も多々ある。
しかし、彼らは言語を歌詞の繋ぎではなく、メロディーを乗せた場合の心地良さや、その言語が持つ特性を伝えたい事柄に近づける為の「使い分け」をしている。ここがこのグループの最大の魅力になっているのは間違いない事である。
彼らが言語の微妙なさじ加減で織りなす音楽は国境を越えた普遍的な価値があるに違いない。