現代の闇をコミカルに
アパート清水で1人暮らしをしている主人公の「コタロー」を中心に描かれるストーリー。
この漫画の肝は、このコタローが4歳児であるということ。
最初は「4歳児が1人暮らしって?」と不思議に感じますし、漫画内でも詳細な部分はあまり明かされていません。
ただ、コタローとアパート清水の住人との触れ合いの中でコタローがネグレクト経験者であること、なぜ1人暮らしをしなければいけないのかなどの謎が少しずつ明かされていきます。
「ネグレクト」をテーマにしていると分かるのも2巻以降ぐらいですし、そんな奥深いテーマだってことも気付かないくらいに作風は全体的に非常にコミカルで、読んでいても思わず声を出して笑ってしまうほどです。
その普段の雰囲気とシリアスな展開の差が非常に絶妙で、大笑いした話の後には思わず号泣してしまうという事も何度もあります。アパート住人が泣きはらした目の時などは、すぐに気付いて目を冷やせといいながら「泣いても、わらわはおぬしのことを嫌ったりせぬ。泣くのはだめではない」と言ってなぐさめるのですが、コタロー自身は「弱いわらわは嫌いぞ」と泣くことすら許しません。たった4歳児の男の子がどうしてそこまで追い込まれてしまったのか、4歳なんて一番多感な時期なのに泣くことすらできないなんて…と考えるだけで涙が止まらなくなりました。
昨今では、ネグレクトに関するニュースは後をたちませんし、時には命を落としてしまう子までいます。そんなテーマを神妙な立場ではなく、少し違った観点で訴えてくるこの作品は本当に素晴らしいです!色んな人に一度手に取ってみてほしい作品です。