グルメ漫画の皮を被った悪食ギャグ
コミックスの装丁の印象は美術的で、ファンタジー好きには好まれやすいと感じます。ドラゴンに食われた妹を助けるという大前提の元、仲間同士力を合わせてダンジョンを攻略していくかと思いきや、仲間はビジネス契約のため早々にパーティ離脱。その上主人公はモンスターを食べてみたいとか訳分からんことを言い出すので、妹の親友であり魔法使いポジションのエルフ(モンスター食いに猛反対)に多大に感情移入できます。というか、読み進める内に読者も悪食が通常運転になりそうになるため、このエルフのおかげで正気を保つことができます。あ、これ原材料モンスターだったわ危ない危ない、おいしそうとかダメだって絶対、と現実に引き戻してくれます。ただ、最近はエルフ本人もこの異常な嗜好に慣れつつあるため、新規加入者や別の冒険者の出現は、新鮮さを取り戻すきっかけとなるため、ありがたみすら感じます。グルメ?の側面だけでなく、ダンジョンに生息するモンスターはどれも一度は耳にしたことがある生物であることが多く、その生態や伝説、実は〜だった的な雑学や設定が好きな人はとても楽しく読めます。ただ「それも食べちゃうんか」とも思ってしまいます。前述した妹を助けるストーリーは後半になるにつれてあらぬ方向へ舵を切っており、これからどうやったらハッピーエンドを迎えられるのか想像もつきません。今後のストーリーに期待して毎回続きが待ち遠しくなる漫画だと思います。