“突抜けることの強さ”を教えてくれるキングダム
中華の歴史を彩る春秋戦国時代、奴隷として生まれたものは一生奴隷、子供も孫も一生……。
奴隷として育った少年“信”は生まれつきの負けん気で自らの運命を切り開いていく。
ある日戦場で見た“将軍”の強さに見惚れながら自分もそうなると親友と決意を交わすのであった。
一方、500年続いた闘いに終わりを告げようと立ち上がる一国の小さな王、嬴政(えいせい)。
のちに始皇帝とよばれることになるこの少年は、身内の裏切りにより窮地に立たされていた。
後に刺客に狙われていた嬴政を信が助けることによって二人は奴隷と王という歪な同盟関係となる。
信は中華統一を目指す嬴政の“剣”となることを志し、数多の戦場を駆けることとなった。
一つの命に拘って恨みを募らせていた信だったが、時代の背景を悟ると嬴政の覚悟の重さに気付き、支えてやれる立場までのし上がろうと全力を尽くすのである。
現代社会に見られる癒着や忖度を全く無視する“信”の姿に憧れを抱く読者も多いのではないだろうか。
自分の信じるモノをひたむきに信じて、努力する姿はまさに圧巻で登場人物だけではなく見ているものにも変化を与えるものとなっている。並みいる秦国の将軍を葬ってきた龐煖との戦いでは誰もが敗れると思っただろう。その逆境を乗り越えて力だけでは語れない強さを示す“信”は更に進化を続けている。