ヤクザと家族 The Family

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ヤクザと家族 The Family
9

『ヤクザと家族』

ヤクザとは、暴力で人を脅し、犯罪活動をする事で収入を得ている組織である。
だが、題名にもある通り、ヤクザは家族関係に似たものがある。組織のトップの事を「親父」・「親分」と呼び、親子・兄弟の盃を交わすというルールもある。
この映画の主人公は、綾野剛が演じる山本賢治。地元ではかなり有名なチンピラ。ある事をキッカケに、柴崎組というヤクザの組長、舘ひろし演じる柴崎博に認められ、組に入る事を勧められる。一度は断るが、柴崎に尊敬の念を抱いていき、組に入る事を決める。そこから山本のヤクザの道が始まっていく。
この映画の面白い点は、まずはヤクザとヤクザの抗争の迫力あるシーンである。
白昼堂々車で襲ってきたり、港でヒヤヒヤするような暴力シーンなどなど、現実では味わえないスリルを味わえる。
そして私が特に注目して見ていただきたいのは、時代によってヤクザという存在の捉えられ方が変遷していく点です。ヤクザはかっこいいものだ、という考え方から、暴力団対策法の制定により、『人間』として扱われなくなってしまうという真逆の考え方に変わってしまう。
その捉えられ方の変遷に、山本賢治やその仲間達が翻弄され、時代の波に乗るべきなのか、自分の志を貫くべきなのか、という葛藤を描いており、とても考えさせられる映画となっている。
他にも携帯・スマートフォンの復旧によるSNSの恐ろしさも描かれていて、見ている自分にもあり得る恐怖をリアルに味わえる作品。
自分の信念と世間の考え方の変遷、どっちを信じるべきなのか、観ている自分も主人公になったかのように考え込んでしまう作品で、中々こんな作品には出会えないだろう。この映画の結末もかなり度肝を抜かされたので、是非観てもらいたい。