イングロリアス・バスターズ

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イングロリアス・バスターズ
9

鬼才クエンティン・タランティーノの秀作

鬼才クエンティン・タランティーノの秀作、イングロリアス・バスターズ。
第二次世界大戦のヨーロッパを舞台に、極悪非道の限りを尽くしていたナチス兵を討伐する極秘部隊「イングロリアス・バスターズ」の活躍を描いた本作品。
ユダヤ人一家を匿うフランス人酪農家を尋問する「ユダヤキラー」ことナチス兵のランダ大佐、映画館の劇場支配人でユダヤ人のショシャナが復讐の為、ナチス兵関係者をプロパガンダ映画の上映会に招待する。また、関係者が一堂に会する劇場でナチス兵を一網打尽に討伐しようと目論見、ドイツ人として潜入するバスターズ。など、本作は戦争映画でありながら、ド派手な銃撃戦などではなく、癖のある魅力的なキャラクターの様々な思惑が交錯する群像劇かつ、タランティーノ脚本特有のセリフのセンスが光るスリリングな心理戦が特徴のエンターテイメント作品となっています。
特に魅力的なキャラクターとして「ユダヤキラー」ランダ大佐を演じたクリストフ・ヴァルツの演技が素晴らしく、全編通して憎たらしいけどスマートで気品がある魅力的な悪役となっています。
また、タランティーノ監督の自由な発想や構想でフランスが舞台なのに英語圏で映画をヒットさせるため、「登場人物がいきなり英語を話す」などのハリウッド映画界の暗黙のルールを逆手に取り伏線に使うところや、歴史的史実を捻じ曲げて、フィクションだからなんでもありだろと思い切った結末にするあたりなどは痛快です。
映画界に革命的な発明をしたとも言われている作品となっています。