スーパーカブ

スーパーカブ

『スーパーカブ』とは、トネ・コーケンによる日本のライトノベルであり、それを原作とした漫画やテレビアニメなどのメディアミックス作品である。山梨県北杜市を舞台に、何にも興味を持たなかった少女・小熊(こぐま)がホンダ・スーパーカブ50と出会い、日々の経験を通じて世界を広げ成長していく姿を描いている。
小説版は、小説投稿サイト「カクヨム」への投稿を経て、角川スニーカー文庫より2017年5月から2022年4月まで刊行され完結した。その後もカクヨムでは新たなエピソードが公開されている。漫画版は『コミックNewtype』にて連載され、公式スピンオフの『スーパーカブRei』も展開された。テレビアニメは2021年4月から6月まで放送された。
両親も友達も趣味もない主人公の小熊は、原付に関心を持ったことをきっかけにバイク屋でいわく付きのスーパーカブ50を手に入れる。自転車とは異なるスピードやさまざまな未知の経験を通じて、何気なかった生活に確実な変化が訪れ、カブに乗る楽しさを知っていく。やがて、同じくカブに乗る少女・礼子(れいこ)と出会い、行動を共にすることで物語が展開されていく。

Resonancel0のレビュー・評価・感想

スーパーカブ
9

アニメ『スーパーカーブ』の魅力

トネ・コーケン著の『スーパーカブ』というライトノベルを原作にしたアニメが、2021年4月7日~6月23日 にかけて全12話で放送された。
もしも、貴方がこの放送を見ていないのであれば、「強く勧める!今すぐ見るんだ!」とまでは勧めないが、ぜひ見てほしい。
わざわざ紹介するには理由がある。この作品の良さは、「地味」にあるのだ。
作品中にバトルがあるわけでもない、ラブストーリーがあるわけでもない、しかし、心に染みるのだ。
主人公は、高校2年生のとても物静かな小熊という少女なのだが、わけあって一人暮らし。
アニメの女子高生といえば、友達と集まって「アイドル!アイドル!」と大騒ぎしそうなものだが、このアニメの主人公の小熊ちゃんには何にも楽しいことがない。とことん、楽しいことがない。
アニメの第一話が始まって数分、私は「コレ、面白くなるんか?」と心底思ったが、その後で、その小熊ちゃんが出会ったのはタイトルにある「スーパーカブ」だった。
そして、スーパーカブに乗るだけ。そんなアニメなのに、実に心に染みるのだ。
無為に流れる時間の描写が心に染みるのだ。
何にも楽しいことがない人生を生きる小熊ちゃんだから、スーパーカブが特別に輝くのだ。
よそのアニメなら、ここから仲間がたくさんできる展開だが、このアニメは違う!
ストーリーが進んでも、たったの二人しか友達が増えない。しかし、そういう作りの作品だからこそ、ストーリーに引っ張られて役割を果たすだけのキャラにならず、リアリティのある友達との描写が生まれるのだ。
知り合って仲良くなっていく過程に描写される「無為に流れる時間」が視聴者の心に染みるのだ。
派手な大冒険はないが、スーパーカブは小熊ちゃんの人生を素敵なものに変えた、人生の意味を買えた宝ものなのだ。
ぜひ、貴方にも無為に流れる地味な静かなこの物語を体験してほしい。
かっこつけて自分を強そうに見せる必要はないのだ。
そんな穏やかに気持ちになる全12話を、ぜひ見てほしい。