社会における他者との関わりについて
草食動物と肉食動物が擬人化された世界で、両者の共存を背景に描かれた群雄劇。
主人公は、チェリートン学園に通う17歳のハイイロオオカミのレゴシ。物語は、同じ演技劇部のアルパカのテムが何者かによって、食殺されたところから始まる。ハイイロオオカミのレゴシは、大型の肉食動物であるという理由で、部員である草食動物達に「犯人ではないか」と疑われるが、テムと仲が良かったことや草食動物思いの優しい性格であることから、疑いはすぐに晴れた。
しかしある夜、演劇部の稽古中に偶然見かけたウサギのハルに肉食動物としての本能を抑えきれず、襲いかかってしまう。寸前で、レゴシは理性を取り戻し、食殺には至らなかったものの強い自己嫌悪に苛まれてしまう。
肉食動物と草食動物が共存する社会で、様々な種族の種族ならではの悩みや不安、葛藤が描かれている本作品は、高校生という子供でも大人でもない多感な時期のキャラクター達が、他者との関わりを経て自分のあり方や存在意義を自問自答し成長していく。
動物が擬人化しているので、「漫画の世界だけの話」と思いがちだが、私たちが人間社会を生きていくうえで、共感できる部分は数多くあるだろう。
また、動物特有のリアルな習性にもフォーカスされており、そこも見どころの一つである。
アニメ版では、躍動感あふれるレゴシの戦闘シーンも注目である。