水曜日が消えた

水曜日が消えた

『水曜日が消えた』とは、1人の男が曜日ごとに異なる人格になり、その様子を火曜日の「僕」の視点を通して描いた映画である。主人公は幼い頃に事故にあい、7人の人格が日替わりで現れるようになったというストーリーだ。ある日、水曜日が消え火曜日の僕が水曜日も生きはじめるようになる。はじめは2日間生きられることにはしゃいでいたが、そこから徐々に異変が現れ問題が起きていくのだった。この映画の監督・脚本はCGアーティストとしても有名な吉野耕平が、主演は今注目の俳優である中村倫也が務めている。

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水曜日が消えた
3

中村倫也ファンなら観て損はなし

子供の頃の事故が原因で曜日ごとに性格が入れ替わってしまう解離性同一性障害を抱える男の、「火曜日」の人格が主人公の物語。七人の人格は趣味も仕事も異なる。絵を描いていたり植物の栽培をしていたり音楽を嗜んだりゲームに没頭したり。そんな七人の中で比較的平凡で穏やかな「火曜日」は、自由気ままに振る舞うほかの曜日の後始末をすることが多く、目を覚ますと小言を言いながら片付けをしていく。いつも同じ曜日に覚醒するので、目にするテレビのコーナーも開いているお店も同じ。火曜日閉館の図書館に行きたいという小さな願いを持った「火曜日」。
そんな彼がある日目を覚ますと、水曜日だった。目新しい状況、知らない環境に胸を躍らせ、行きたかった図書館に通い司書の女性と距離を近付けていくが、彼は時々意識を失ってしまうようになる。なにかがおかしい、と彼は事故以来の主治医のもとに行くが……。
登場人物は少なく、メインは「火曜日」、「月曜日」、幼馴染み、司書、医者、医者の助手だけだ。物語が進むにつれ、「火曜日」は事故前後の記憶を取り戻し病院側は人格の統合を薦める。人格は切り替わり、互いが互いを演じ、いま目の前にいるのがだれなのか判然としない。物語の終盤、七人が出した結論は統合か否か。
ふんわりとした優しい演技も、暴力的な演技も達者な中村倫也を堪能できる映画だ。それ故に、彼のファン以外にはお薦めできない。彼の演技力は確かだが、なにしろ出てくるのは「火曜日」と「月曜日」だけ。ほかの五人はたいした台詞もなく、彼等なりの日常が数シーン挟まれる程度で、正直観ていると「統合しようがしなかろうがどうでもいい」レベルの感情しか持てない。繰り返し「火曜日」が思い出す事故前後の記憶が、繰り返されすぎて「またか」となってしまうのもどうか。もっとテンポ良く進められたと思う。
主人公の「火曜日」はふわふわした性格なので、優しい中村倫也がより好みだという方にはお薦めだ。