色褪せない名作「氷菓」
「氷菓」は日本推理作家協会賞を受賞したミステリー作家である米沢穂信氏の作品を原作とし、京都アニメーションでアニメ化された作品で、省エネな主人公、折木奉太郎が古典部に入りヒロインの千反田えるに振り回される日常を描いた青春ミステリーである。
ふと機会があったので改めてこの作品の良さについて触れてみた。
やはりこの作品最大の魅力はヒロイン「千反田える」だろう。豪農千反田家の一人娘である彼女は長い黒髪で清楚な印象を与える女生徒という容姿に対し、好奇心旺盛という大きなギャップがある。彼女の「私、気になります」というフレーズは一度見た人には印象深く記憶に残っているに違いない。
一方、青春群青劇が繰り広げられるこの作品でしっかりとミステリーをしているのも興味深い。日常のちょっとした謎解きから怪盗との戦いまで青春ミステリーとしてここまで楽しめる作品はそう多くないだろう。
「氷菓」は原作とアニメとどちらにも素晴らしさがある。原作は文章でしか表せない小ネタや文学らしい抽象表現が散りばめられているのに対しアニメでは原作にない掛け合いが含まれている。アニメ版の文化祭でのワイルドファイアのくだりはぜひ一度ご覧いただきたいものだ。
さて、改めて「氷菓」という作品の素晴らしさを語ってきた。小説もアニメもどちらも非常に面白いのでぜひこの期に見返してはどうだろうか。なお、小説では「二人の距離の概算」や「いまさら翼といわれても」で2年生になった奉太郎たちをみることができる。こちらも見逃せないだろう。