幸せになってと願ってしまう
過酷な家庭環境の中で懸命に生きてきたヒロインの美世。たった一人の幼馴染への想いすらも無情にも砕かれる始末。まるで淡い期待も抱くなと言わんばかりの仕打ちに対して笑って諦める美世の言葉に胸が痛んでしまいます。
抗えない自分の運命と無力さに全てを諦めてしまう美世は建前として用意された縁談相手の清霞の元へ追い出されるのです。
冷酷と謳われる清霞を相手に、ただただ自分ができる事をして役立とうと考える美世。これに対し始めは噂通りの冷たさで接する清霞は次第に美世へ興味を抱き彼女を知っていこうとします。
ゆっくりと美世の歩調に合わせるかのように、清霞の気遣いは優しいのです。繊細な美世も表情に出てしまうほどに清霞の優しさが心に響きました。そんな2人の様子には読者の私も思わず微笑んでしまうほどのシーンでした。
婚約から結婚を決意する清霞はその想いをある物に込めて伝えていきます。受け止める美世は清霞の隣にいたい事を願うのです。
結婚が本格的になる手前で美世が何者かに攫われてしまい、静かに激怒する清霞は美世を助けに向かいます。
作者の人柄が出るような淡い繊細なタッチの絵柄はまさにこの作品とマッチして思わず引き込まれてしまうマンガです。
読んでいる読者も清霞の想いも美世の想いも、どちらにも共感できていつしか美世だけではなく清霞も含めた2人の幸せを願ってしまうほど。本当におすすめです。