青くて痛くて脆い

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青くて痛くて脆い
8

理想の自分とは

ちゃんと傷つけ!

青春期独特の「自分とは何か」について触れられている作品。ヒロインの秋好は外向きの、他の人も幸せになれるような理想を掲げ、主人公の楓は「こういう自分でありたい」という謂わば内向的な理想を掲げていた。どちらの理想も行動に移さねば現実は何も変わらないが、内向的な理想は現実と理想の距離が分かりやすくその分理想に届かない自分にいらつきを感じてしまうように思う。

自分のあり方に悩む時期って誰しも経験することだと思う。それに「こういう自分でありたい」「他の人にこう思われたくない」と考える時期も必ずある。個人的には理想を追い続けるのも大切だけど、ありのままの自分自身を素直に受け止める方が理想とのギャップに苦しむことはないと思う。ただ、これに気づけるのは自分の理想を追い求めているときではない。理想を諦めたときだろう。
そして、自分の考えを振り回して他者を不幸におとしめるようなことはあってはならない。当たり前に思うかも知れないが、実際大学生の楓は自分の考えを他者に押しつけて多くの人を不幸にしていた。
誰しも悩む「自分」についてや、理想と現実、青春など様々な要素の盛り込まれた作品。見終わった後、後味の悪さを感じるのは私だけじゃないはず。