青くて痛くて脆い

青くて痛くて脆い

『青くて痛くて脆い』(あおくていたくてもろい)とは、住野よるによる日本の長編青春小説。小説誌『文芸カドカワ』(KADOKAWA)において2017年4月号から2018年1月号まで連載され、2018年3月2日に同社より単行本が刊行された。『君の膵臓をたべたい』などで知られる住野よるの5作目となる小説で、2018年のオリコン週間BOOKランキング文芸書部門で1位を獲得したほか、hontoの「2018年二十歳が一番読んだ小説ランキング」でも1位に選出された。2020年8月には吉沢亮と杉咲花のダブル主演による実写映画版が公開された。監督は狩山俊輔、脚本は杉原憲明。
人付き合いを避け「誰も傷つけないこと」を信条とする大学生・田端楓(たばた かえで)と、空気の読めない発言で周囲から浮いていた秋好寿乃(あきよし ひさの)の二人が、理想の居場所として作り上げたサークル「モアイ」。しかし、時間の経過とともにサークルは変質し、就職活動に特化した肥大化サークルへと姿を変えてしまう。楓はかつての「モアイ」を取り戻すため、そして秘めた目的のために現行の「モアイ」を潰そうと画策するが、その過程で自身の欺瞞や痛切な現実と向き合うこととなる。
映画版は、森七菜が『ラストレター』『461個のおべんとう』と合わせて第42回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞している。

poko36のレビュー・評価・感想

青くて痛くて脆い
8

理想の自分とは

ちゃんと傷つけ!

青春期独特の「自分とは何か」について触れられている作品。ヒロインの秋好は外向きの、他の人も幸せになれるような理想を掲げ、主人公の楓は「こういう自分でありたい」という謂わば内向的な理想を掲げていた。どちらの理想も行動に移さねば現実は何も変わらないが、内向的な理想は現実と理想の距離が分かりやすくその分理想に届かない自分にいらつきを感じてしまうように思う。

自分のあり方に悩む時期って誰しも経験することだと思う。それに「こういう自分でありたい」「他の人にこう思われたくない」と考える時期も必ずある。個人的には理想を追い続けるのも大切だけど、ありのままの自分自身を素直に受け止める方が理想とのギャップに苦しむことはないと思う。ただ、これに気づけるのは自分の理想を追い求めているときではない。理想を諦めたときだろう。
そして、自分の考えを振り回して他者を不幸におとしめるようなことはあってはならない。当たり前に思うかも知れないが、実際大学生の楓は自分の考えを他者に押しつけて多くの人を不幸にしていた。
誰しも悩む「自分」についてや、理想と現実、青春など様々な要素の盛り込まれた作品。見終わった後、後味の悪さを感じるのは私だけじゃないはず。