MOROHA

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MOROHA
10

何かを変えたいと願う人に贈る「MOROHA」というユニット

大人になるとは決して夢を捨てるという事ではない。社会人になっても、あるいは子供の頃からの夢を追っていても、誰だって人の心には夢や目標はあるものだ。営業成績で一番になりたい、お客様を喜ばせたい。
同時に誰にでも、その夢や目標を諦めたい、怠けたいという気持ちがある。そんな心を怒るわけでもなく、受け止めるわけでもなく、ただ「俺は前に進むんだ」と熱い心を見せて老若男女の心に火をともすポエトリーラッパーが居る。「MOROHA」というギターとマイクの二人組のユニットだ。

ラップと聞いて、ポエトリーと聞いて首をかしげてしまう人は多いと思う。初めてこのグループの曲を聞いた人は多くが首をかしげる。だがバックに流れるギターと真剣な歌詞にのめり込み、「こんなの音楽じゃない」と言いつつ、いつの間にか聞き入ってしまう。YouTubeで500万回以上再生された『革命』は、MOROHAに興味が湧いた人に一番最初に勧める曲だ。言葉一つが自分の心を抉る。顔は笑ってはいても、その曲に、リズミカルに乗せた歌詞にハマってしまうはずだ。

このラッパーのオリジナリティは、とにかく「音楽で成功したい、成功してやる」という熱い気持ち、そして「不甲斐ない自分」に対しての悔しさ。「音楽活動の原点」をそのまま「音楽」にし、強い思いや呪いのこもった歌にしている事にある。
高いレベルの音楽ながら、皆が共感できる「弱い心」を持ち合わせている。その弱い心をさらけ出しているところが我々を感動させる理由だろう。

いつしかその手は『三文銭』、『四文銭』(いずれも彼らの作品名)へと伸びているはずだ。シリアスなギターと、真剣な声に、自分の果たせなかった夢、果たしたかった夢への熱い気持ちが戻ってくるのを感じる。少し前に戻って『奮い立つCDショップにて』を聞くと、自分が若かりし頃の夢を追いかけていたころの気持ちを取り戻し、同時にこのMOROHAというグループの作詞、作曲、音のノリの上手さに舌を巻いてしまうはずだ。

「何かを変えたい、でも何も変わらない」、そんな焦燥感に苛まれている全ての人に聞いてほしいMOROHA。「心の火が消えそう」という人は聞いてみて欲しい。