聖剣伝説 LEGEND OF MANA / 聖剣伝説LOM / Seiken Densetsu: Legend of Mana

聖剣伝説 LEGEND OF MANA / 聖剣伝説LOM / Seiken Densetsu: Legend of Mana

1999年にスクウェアから発売されたPlayStation用ゲームソフト。
『聖剣伝説』シリーズ4作品目になるが、過去の作品とつながっていない独自の世界になっている。
ポリゴンを用いた3D画面が主流になり始めた時期に珍しく、2Dによる緻密で繊細なドット絵を使用した作品になる。
何もない土地に、町やダンジョンを自分で配置し世界を作ることで、世界に生きる人々に触れ、共に世界を作っていくRPG。

Matsui_2ndのレビュー・評価・感想

聖剣伝説 LEGEND OF MANA / 聖剣伝説LOM / Seiken Densetsu: Legend of Mana
10

絵本の中の濃密ファンタジー

絵本のような柔らかいタッチのグラフィックで描かれており、自分の好きなように構築できる「ランドメイクシステム」によってプレイヤーそれぞれの色が出ます。1つの作品だけど誰がやっても違う鮮やかな十人十色の世界が出来上がるRPGです。
3つのメインストーリーとサイドストーリーが用意されており、どれも濃密な物語が紡がれています。
3つのメインストーリーの1つ「エスカデ編」では、4人のメインキャラクター「エスカデ」「ダナエ」「マチルダ」「アーウィン」がそれぞれ立場、考え、行動、性格に違いがあり、プレイヤーは誰しも4人のうちの誰かに共感し、彼/彼女の視点でストーリーにのめり込んで行くでしょう。
2つ目の「ドラゴンキラー編」では、「ラルク」と「シエラ」、2人の愛を感じるストーリーで、環境と立場は違っても同じ目的を果たすべく行動していきます。違う道から進む二人がようやく手を結ぶとき、その結末と過程が心揺さぶるストーリーとなっています。
最後3つ目の「宝石泥棒編」は、宝石を核として生きている種族・珠魅の話。核の宝石を失うと消えてしまう珠魅たち。その宝石を盗み取る宝石泥棒。ストーリーが進んでいくにつれて宝石泥棒の目的が明かされていき、正義とは?と考えさせられ、立場が変わってくるととその正義もまた揺ぎます。プレイヤーも考えずにはいられないでしょう。
また、この作品は全編通して主人公が喋ることはなく、唯一この「宝石泥棒編」の終幕で最後の一言だけ主人公は喋ります。その時の言葉と演出を是非プレイして確かめてください。
まだまだ魅力はありますが、子供がプレイすると絵本のような異世界に入り込んだ非現実感を楽しめ、大人になってからプレイするとストーリーの濃さとキャラクターのバックボーンに感情を揺さぶられることでしょう。
子供の時も大人になっても楽しめる、色褪せないRPGです。