「スノハレ」なくして、「ラブライブ」なし
ラブライブには「もしコレが存在していなければ、ここまで知名度は上がらなかったんじゃないか?」と思わせるモノが存在する。その代表格が「スノハレ」だ。
スノハレとは「Snow Halation」という曲の略称で、スクールアイドルグループμ’sがラブライブ最終地区予選を突破する為にメンバー全員で創り上げた勝負楽曲だ。
ラブライブ2期9話で、そのスノハレのダンスパフォーマンスが描かれたMV(ミュージックビデオ)が地上波で流れるやいなや、たちまち神回と呼ばれるようになった。
実際、スノハレはNHKの「アニソンベスト100」という投票企画で堂々の第1位に輝いている。
私自身がラブライブを知る切っ掛けになったのもYouTubeでスノハレを発見したからだ。
スノハレと初めて出会ったその日、くり返し何度も何度も再生し、友達や家族に布教しまくったのを今でも鮮明に憶えている。
ではなぜ、スノハレは人々をこんなにも惹き付けるのか。
スノハレの評価がここまで高い理由は何なのだろうか。
私は恐らくスノハレのMVを数え切れない程(ヘタをしたら1000回以上)見ているが、だからこそ気づけた事もある。
それも含めて、スノハレというものをもう少し掘り下げていきたい。
まず、映像の美しさは重要なポイントだ。
イントロから思い切り度肝を抜いてくる圧倒的なスケール感。
興味がない者でも黙って最後まで魅入らせる存在感。
もちろん、楽曲自体のクオリティも素晴らしいし、カット割りの巧妙さも呆れるほどだ。
それらが映像の美しさと融合して、『物語から切り取った1つのPVとしても成り立つほどの完成度』にひたすら圧倒される。
また、振付も本格的で、決しておざなりじゃないダンスフォーメーションも、尋常じゃないこだわりを感じさせる。
実際に踊ってみるとよく分かるのだが、モーニング娘。のとある曲は、ただ時間を稼いで間をつなぐだけの無駄な部分(たとえば統一されていないバラバラなサイドステップ)があり、ダンスを真似していても、手持ち無沙汰でだんだんつまらなくなってくる。
それと比較するとスノハレの振付は、ひとつひとつの動きにちゃんと意味が込められているというか、一切無駄なものを感じさせない。
さらに「センターの3人が10秒間も観客に背をむける」とか「ひとりひとりが順番に耳を澄ませる仕草」など、斬新かつ独創的な振付も随所に盛り込まれている。
アニメ作品の振付となると、ある程度やっつけ仕事的なものを想像する人もいるかもしれないが、リアルに活動しているアイドルのパフォーマンスにも決して引けを取らないのだ。
さらに、演出効果もよく考え抜かれていて秀逸だ。
例えば、大サビに入ったた瞬間、イルミネーションが白からオレンジに変化するシーンは圧巻で、MV最大の見せ場になっている。
機動戦士ガンダム等でメカの動きを研究し尽くしてきたであろうサンライズが『アイドルがダンスするアニメーション』を本気で作ったら、「ここまで凄さまじいモノが出来上がるのか!」と感心せずにはいられない。
それと同時に、ここまでクオリティの高いコンテンツを息切れせずに最後まで提供しつづけた仕事ぶりには本当に頭が下がる。
実際に2週間後に放送された11話は、ファンの間ではスノハレの9話と並んで語り草になっていて、さらなる超絶神シーンが存在する。
ちょっと考えるだけでも、相当ハードな製作スケジュールを容易に想像できるのだが、作品作りに対して全く妥協しなかったその姿勢の裏には、製作に関わった全ての人達の『ラブライブへの愛』があったからなのだろう。
長々とスノハレがスゴイ理由を語ってきたが、テレビでオンエアされた2014年の6月から、NHKの投票企画で1位になった2017年5月までの約三年間で、深夜アニメ枠の劇場版興行収入の記録を塗り替えたり、担当声優が紅白歌合戦に出場したり、東京ドームでライブを行ったりと、数々の社会現象を引き起こしてきた事実を鑑みれば、「スノハレなくして、ラブライブなし」という私の主張もあながち独りよがりなものではない、と思う。
ラブライブを敬遠する人にとっては、キャラクターデザインが好みではないとか、ミュージカル要素が苦手とか、さまざまな理由があるだろう。
だがせめて、スノハレのMVだけでも騙されたと思って見てみてほしい。
作品本編を見る時間はないという人は、まずはMVだけでも。
せいぜい2分少々の長さなので、ぜひ検索してみてほしい。
価値観が180度ひっくり返る可能性もきっとあるハズだ。
最後の最後に、もうひとつだけ注意点がある。
スノハレのMVは実は2種類あって、今回私が話題にしたのは『TVシリーズ』の方だ。
フルコーラスのバージョンはまた別の話になる。
もし機会があれば、今度はそちらについて書きたいと思う。