天 天和通りの快男児

天 天和通りの快男児

『天 天和通りの快男児』(てん てんほーどおりのかいだんじ)とは、『賭博黙示録カイジ』などで有名な漫画家・福本伸行による麻雀を題材にした漫画。1989年から2002年にかけて竹書房の『近代麻雀ゴールド』にて連載されていた。単行本は全18巻。ゲーム、パチンコ・スロットなどのメディアミックス展開をしており、2018年には岸谷五朗主演の実写ドラマが放送された。

rarukuraのレビュー・評価・感想

天 天和通りの快男児
8

中年の星になった神域の男の生きざまに刮目せよ!天 天和通りの快男児 レビュー

麻雀漫画の金字塔「アカギ」
アニメ化までされた本作があまりにも有名になってしまった為、知らない人も多くなってしまいましたが、元は別の漫画の人気脇役だったキャラクターを主役に持ってきたスピンオフ作品でした。

その元ネタとなった麻雀漫画こそ、「天 天和通りの快男児」です。

理詰めの麻雀を好む学生、井川 ひろゆきが無頼の麻雀打ち天貴史と出会うところから始まったこの物語は、当初一話完結の人情モノでした。

しかし徐々に心理戦による本格闘牌麻雀漫画に移行。
作品の半分を占める東西のトップ麻雀打ちによる一大決戦へと進んでいきます。
そのターニングポイントとなったのが天とひろゆきの前に、赤木 しげるが現れた回でした。

「アカギ」の時代から約30年後、神域の男と呼ばれ、伝説の麻雀打ちとなっていた赤木しげる。
このおっさんになった赤木がとにかくめちゃくちゃカッコいい!

常にニヒルでクールだった若い頃と比べると「ちょっとゴルフがしたくなった」と仲のいいツレに声をかけて思い付きでハワイに行ってみたり、結構茶目っ気のあるところも見せつつ、いざ麻雀勝負になると、敵味方含めた最強キャラとしてひたすら頼りになります。
更にその若さと繊細な感性ゆえに悩み迷うひろゆきに対して東西戦を通じて、要所要所で助言をして導く師匠ポジションでもある。

「俺の暗刻はそこにある…」「そういうこざかしいことと無関係の所に…強者は存在する」など痺れる名言も山盛りで、読んでいくうちにどんどん赤木に心酔すること請け合いです。

また終盤に描かれた通称「通夜編」では麻雀漫画雑誌連載作でありながら全く麻雀をせずに、死を前にした赤木と周囲の人たちとの会話劇が繰り広げられますがこれがまたアツい!物語の最後、飛散した赤木を語る天とひろゆき。
寂しくもあり、どこか清々しくもある。そんな気持ちを読者も共有できるのでは無いでしょうか。

13年に及ぶ長期連載の中で、人情漫画家からギャンブル漫画家、そして人間心理を描く第一人者として覚醒した福本 伸行先生の成長の記録としても貴重な本作。
皆さんも、伝説の男の生きざまを追体験してみてはいかがでしょうか?