コミュニケーション能力が高いってどういうこと
小学校時代のイジメに関しては、傍観人が何故か加害者意識を持っていないところとか、とてもリアルに描かれています。耳が聞こえない人とのコミュニケーションがなぜイジメに発展してしまったか。会話が出来ないということではなくて、いつもお世話しなくちゃいけなくて大変、とか、合唱コンクールで歌って欲しくない、とか、でもはっきり言うのを我慢しているうちに鬱憤がたまって、という部分は美化しないで切り込んで書かれているのは、今までの障害者を扱った作品では珍しいと思います。聞こえない女の子が可愛すぎない、といった部分も良かったです。
最後まで読んで思うのは、やっぱり小学校の先生の性格の悪さですね。一にも二にも、あそこまでいじめが発展してしまったのは先生のせいでしかないですよね。小学生にそこまで大人として行動しろ、というのは粗方無理な話です。
書いてコミュニケーションを取れるけど、面倒くさくてやだ、という気持ちは素直で子供らしいと思いました。植野さんは、暴力さえ振るわなければ、結構重要なメッセージを発している気がするんです。素直にストレートに、対等に、硝子ちゃんに向き合っていたのは彼女だけではないでしょうか。果たして思ったことを本音で伝える事がいいことなのかどうか、その辺にポイントがあった気がします。