愛らしくも恐ろしい少年は女王の番犬
シエル・ファントムハイヴは、パッと見は驚くくらい愛らしく幼気な美少年。しかし、その実はファントムハイヴ伯爵家現当主であり、玩具・製菓の一流メーカー経営者。そして、英国ヴィクトリア女王の番犬でもあり、世にも恐ろしい悪魔との契約者でもあったのです。悪魔の名はセバスチャン。シエルと契約した彼は、普段は超万能な執事として働いています。シエルとセバスチャンは、女王のお願いを忠実に実行しますが、周りに知られたらかなりまずいことになるような汚れ仕事や、命の危機にさらされるような危険な任務も少なくなく、二人は多くのトラブルに巻き込まれていくことになります。この作品の魅力は、二人の前に立ちはだかる敵たちとの緊迫した駆け引き、そして、ハラハラドキドキな展開の後に待っている、意外性満点の勝利の「スカッと感」だと思います。ずるくて手ごわい敵に苦しめられつつも、シエルの頭脳とセバスチャンの超人的な能力でそれをやりこめたときには、胸がすくような思いがします。また、シエルの使用人たちや、敵として登場する死神など、サブキャラも一癖も二癖もある人物ぞろいなのも魅力の一つです。ただし、かなり残酷な描写も多いので、苦手な人はご注意ください。