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ジャッキー・チェンが「本気で」作り上げた刑事アクション
ジャッキー・チェンの映画の中でも「プロジェクトA」に並ぶ代表作として知られている本作。
何度かチャレンジしたハリウッド進出が失敗に終わったジャッキー・チェンは、香港で本気のアクション映画を撮ってやる!と決意し、撮影したのがこの「ポリス・ストーリー/香港国際警察」である。
ジャッキー・チェンは当時30歳過ぎで、彼の全盛期ともいえる。
脂の乗ったアクションがとにかく見どころである。
傘でバスに何とかしがみついたり、複数の敵と同時に戦ったり、30mはあろう高さからポールで滑り降りたりと見ているこっちがひやひやしてしまう。
また、完璧主義者としても知られるジャッキー・チェンはスタントマンのみならず、共演者にもアクションシーンを演じさせている。
そしてガラスが数多く登場する本作は、製作途中スタッフから「ガラス・ストーリー」とも呼ばれ、スタントマンだろうが、共演者の女優だろうがお構いなしにそのガラスの中に、顔から、身体から突っ込んでいるのである。
この痛みが伝わるほどのアクションシーンから、彼の本気度合いは十分に伝わってくる。
また、特にラストのショッピングモールでのアクションシーンの激しさは、ハリウッド進出が失敗に終わった鬱憤を晴らしたい彼の本気と重なり、幾度の視聴にも耐えうる刑事アクション映画に仕上がっている。