リングにかけろ

リングにかけろ

『リングにかけろ』とは、『週刊少年ジャンプ』1977年2号から1981年44号にかけて連載された車田正美による少年漫画、およびそれを原作としたアニメ作品である。略称は「リンかけ」。登場キャラクターの次世代を描いた続編『リングにかけろ2』も連載された。
開始当初は貧しい家庭に育った気弱な少年・高嶺竜児が、姉の菊の厳しい指導のもとで世界チャンピオンを目指す現実的なスポ根漫画であったが、途中から超人的な必殺技(フィニッシュブロー)を繰り出し合う路線へと変更した。この路線変更が大ヒットし、当時の『週刊少年ジャンプ』の看板作品となり、最終回は同誌史上初となる巻頭フルカラーで有終の美を飾った。
物語は、主人公の高嶺竜児(たかね りゅうじ)がボクシングを通じて仲間たちと友情を深めて成長し、宿命のライバルである天才児・剣崎順(けんざき じゅん)を倒して世界チャンピオンに輝くまでの軌跡を描いている。作中では、技の名前を叫ぶと相手が派手に吹き飛ぶ見開きや大ゴマの演出が多用され、同じ絵のコピーを無数に貼り付ける「ブーメランテリオス」の描写など、多様な表現方法が試みられた。また、物理学を応用した技破りや、ギリシア神話をモチーフにした敵が登場するギリシア十二神編など、ジャンルを問わない幅広いアイデアが取り入れられている。
連載終了から20年以上を経た2004年には、『リングにかけろ1』としてテレビアニメ化された。アニメ版は原作最終巻のタイトルマッチの描写から始まり、本編は都大会決勝戦から展開される構成となっている。原作者の車田正美やプロレスラーの永田裕志が本人役でゲスト出演したほか、リングコールにはレニー・ハートが起用された。その後もシリーズ化され、2006年に『-日米決戦編-』、2010年に『影道編』、2011年に『世界大会編』が順次放送された。

y_i_no0のレビュー・評価・感想

リングにかけろ
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集英社ビルを新築したボクシング漫画、リングにかけろレビュー

友情・努力・勝利。
1994年に発行部数653万部のギネス記録を達成した、週刊少年ジャンプのモットーとして有名なこのフレーズ。
これを1970年代の終わりにいち早く定着させ、ジャンプ黄金期の礎となった作品が、車田正美作『リングにかけろ(1977年〜1981年)』です。

当初こそ60年代から70年代にかけて大流行したスポ根漫画の影響を受けた熱血人情モノの側面が強かったものの、日米Jr.チャンピオン決戦編で主人公の高嶺 竜児が、猛特訓でモノにした得意のフックに磨きをかけ「ブーメランフック」というスーパーブロー(各々の必殺パンチを、作中ではこう呼ぶ)を使いだした辺りから作品の方向性は大きく逸脱。
SFボクシングとも言うべき、新ジャンルを開拓していくことになります。

それ以降は「団体トーナメント戦」「かつて戦った強敵が仲間になる」「死亡したはずの味方が次のエピソードで復活」
「実際には存在しない文献や疑似科学理論を用いた解説」「修行→身につけたド派手な新必殺技で敵撃破」といった、後に数多くのバトル漫画で多用されるパターンを開発・定着させ、当時の少年読者の圧倒的な人気を獲得していきました。

物語の整合性よりも、読者をびっくりさせることをとにかく最優先し、アイディアの思いつくまま迸るエネルギーで突っ走っていた若き車田先生。
その集大成と言えるのが、竜児の宿命のライバル剣崎順の世界タイトル挑戦編です。

物語終盤、竜児に先駆け一足早くプロデビューを果たす剣崎。
通常デビュー時にはB級までしか認可されないライセンスを当然のように最初からA級で所持し、バンタム級の絶対王者として君臨するジーザス・クライストとのタイトルマッチがいきなり組まれます。

迎えた世界戦では、チャンピオンのジーザスがスーパーブロー「ネオ・バイブル」を天地創造を思わせるカットと創世記のナレーションを背景にひたすら打ち込み、剣崎は開始1ラウンド目でにして6回以上ダウンさせられます。

もはやダウンから立ち上がるだけで3分経ってしまうんじゃないかと言うくらい1ラウンドでボコボコにされ、心肺停止にまで追い込まれる天才剣崎。
そこにリングサイドで見ていた竜児が駆け寄り、涙ながらにスーパーブロー「ブーメラン・テリオス」を剣崎の心臓目掛けて叩き込みます。

熱い男の友情により蘇生した剣崎は、2ラウンド目に自身最大のスーパーブロー「ギャラクティカ・ファントム」を炸裂させ、ジーザスを会場である後楽園のスコアボードにホームランして見事勝利、いよいよ竜児との最終決着へと続くのでした。

『あしたのジョー』や『がんばれ元気』というリアルな劇画調作品が主流だった当時のボクシング漫画に革命を起こし、80年代に続くジャンプの黄金メソッドを1タイトルで作り上げた本作のヒットでジャンプの売り上げは大幅に上昇。
集英社のビルが新しく建て替わったという伝説は、半ばネタにされながら今もなお語り継がれており『リングにかけろ』は、漫画史的に非常に重要な作品なのです。