8
劇場版『SHIROBAKO』のレビュー
2014年10月から半年に渡って放送された『SHIROBAKO』の劇場版。テレビシリーズから4年後を舞台に、宮森あおいを始めとする「武蔵野アニメーション(通称:ムサニ)」の面々が新たなアニメ作りに挑む姿を描く。今回は新作劇場版アニメの完成が課題だが、スタッフ同士で演出や作画に対しての意見が食い違い、更にスポンサーの横槍もあって思うように進まない。それでも観客に最高の作品を提供しようと、最終的には一致団結して制作に取り掛かり、少しでも納得できない箇所があれば修正するなど、限られた時間で最大限の労力を発揮するムサニスタッフの根性には頭が下がる。かつてムサニスタッフは打ち切りが原因で解散してしまっていたのだが、再び筆を取った瞬間に生き生きとした表情になり、試行錯誤を重ねつつも作品作りに励む姿からは4年間のブランクをまるで感じさせない。そして、ラストの1分間における加筆に関しては英断だったと思う。試写会で好評だったにもかかわらず、スタッフ間で満足できなかった箇所を加筆する事で、持てる可能性を出し尽くしてでもより良い作品作りに努めようとする気概が感じられた。若干苦々しい雰囲気になりつつも、希望とカタルシスに満ちたラストになったと言えよう。