あまり人には話すことのできない心の葛藤が上手く表現されている作品です
今思えば小学生、中学生、高校生のころに「あの子に酷いことをしてしまっていたな」「あの子に酷いことをされて心が傷ついたな」ということはありませんか?今現在、誰かを傷つけてはいませんか?この作品はそういった想いがある人達に見てもらいたい作品です。
相手のことは考えずに、自分が楽しければ良いとか、友達が欲しいから皆で一緒になって他人の悪口を言ったりなど、特に深く考えもなしに行動していた人がほとんどではないかと私は思います。しかし、大人になるにつれて色々なことを経験し、昔のことを思い返してみると「なんで昔はあんなことしてたのだろう」と後悔や反省をしてしまいますよね。私もそうでした。幼いころから人付き合いが苦手で、虐められることもあったし、それでも友達が欲しくて一緒になって悪口を言って仲間に加わろうとしたり。自分が虐められるだけでなくて、自分が虐める側にもなってしまっていたのです。誰かを傷つけたかったわけではないけれど、傷付けられた側のことを考えると胸が苦しくなります。当然ですよね。私も虐められた経験があり、同じ苦しみが理解できるのですから。
この作品はそういった心情が上手に表現されていて、涙なしでは読むことができない作品です。
余談ですが、ヒロインの硝子(しょうこ)が時折見せる無理やり作った笑顔は「自分も嫌なことがあっても同じように無理やり笑顔作ってたなー」と勝手に共感して勝手にグッときてしまいました。