ジェニーハイ

yapparikodomo398のレビュー・評価・感想

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ジェニーハイ
9

才能と人間性は無関係と実感できる楽曲

一見するとイロモノとしか感じないようなバンドに思える異色のメンバー。
ボーカルは、海外での実績があるというトリコのイッキュウさん。ジェニーハイで初めて知り、「歌が好き」と感じて逆輸入的にトリコを聞くも、こちらは私には合わず撤退してしまいました。そのくらい、色の変化が出せる、ボーカルとしてのスキルがある方なのかとも思います。
そして、ゴーストライターの件で世間を騒がせた新垣隆さんがピアノ伴奏で、ここでイロモノ感が少しずつ出てきます。とはいえ、さすがに才能はピカイチで、そこにユーモアが足されて不思議な魅力を醸し出しています。
極めつけはドラムの吉本新喜劇の顔である小藪さんと、ベースの野生爆弾クッキーさん。ここで完全にイロモノ臭にあふれてしまうのですが、インタビュー以外の演奏中は完全にミュージシャンと化します。クッキーさんは実はもともとバンド活動をしている実力派で、小藪さんに関しては「レッスンを受けながら何とか食らいついている」とは言っていますが、お二方ともしっかりとバンドのリズム帯を支えており、お笑いと音楽の名バイプレーヤーと化しています。
そして最後に、才能を爆発させてジェニーハイをプロデュースしている川谷絵音。あえてこの方だけ敬称を省いているのは、お察し下さい(笑)。正直言って、ワイドショーを騒がせた話などの印象があり、好きではありませんでした。なのに、ふいに聞いた『ジェニーハイラプソディー』という楽曲をきっかけに、一発で好きになりました。
テンポの良い曲調の中でメンバーの特徴を歌いつつ皮肉ったり、抽象的な歌詞の中から受け取れるメッセージ性…。そこからジェニーハイの楽曲をひたすら聞く、聞く、聞く。
おすすめはBishのアイナジエンドとフィーチャリングした『不機嫌な可愛げ』。川谷ワールド全開の歌詞がだめな人はNGかもしれません。そして、よくよく歌詞を聞いていると引き込まれていく『シャミナミ』など、全てが名曲と言いたくなるほどです。
そこから結局、ゲス極にも食指を伸ばしてしまったほどです。
「クリエイターの世界は本当に人間性とは関係なく、才能が物をいう」と実感できたバンドです。先入観から一度では心に響かないかもしれないので、お試しと思って何度か聞いてみてください。いつのまにか引き込まれます。