『さんかく窓の外側は夜』を見てきました
映画を見ている最中に感心するような作品は意外と珍しく、「これを見終わったらお昼何食べよう?」など、どこか現実を意識しながら見てしまうことが多い。しかし、この映画はオープニングの映像の意味が分かったとき鳥肌が立ちそうになり、ラストシーンまで現実のことを考える暇もなかった。BL作品やホラー、ミステリー、SFなどそういう枠で括ってはいけないと思う。思考に迫ってくるものがあった。映画ならではの色彩や動きが付くことの良さと、小説や漫画の読了後にストーリーの意味を悟ることで感じる衝撃が融合されて、映画でも漫画でもない作品を作っていた。映像化は大正解だった。
映画中の表現としては、半澤の「信じているもの」が見つかった瞬間と、最後のシーンでエリカの腕に呪いが走るワンカットにゾクリとした。
また、呪いの描写が鮮血ではなく黒くてドロっとしたもので表現しているのが、おぞましさを助長させていたように思う。
場面転換も自然で「作られたもの」感がなく、リアルに思えた。殺人シーンはかなりグロテスクな描写もあり、暗いシアターの中で見るとなかなか怖いが、「もう一度見たい」と思ってしまうような映画。
公式が紹介している感想の中に、石崎ひゅーいの「一つしかのぞき穴が無い万華鏡を、誰かと一緒にのぞく事ができたら」というのがあるが、核心をついている素敵な言葉だと思った。孤独と過去にどう向き合うか、考える機会を与えてくれる。