ホアキン・フェニックスの怪演
ホアキン・フェニックス主演『ジョーカー』。ドット・フィリップス監督の今作は『バットマン』に出てくるジョーカーというキャラクターの過去を描いている。ただし、『バットマン』を視聴したことがない人が今作を見ても問題はない。
舞台は1981年のゴッサム・シティ。財政難で荒んだ街は、ストライキによりゴミ収集がされなくなった。そんな中、今作の主人公アーサーは大道芸の仕事を続けていた。いつどこで起きるか分からない“笑いの発作”を持ちながらも、何とか毎日を過ごしていた。
ある日、同僚から「護身用に持っておけ」と言われ、1丁の拳銃を受け取る。この拳銃がアーサーの運命を悪い方へと変える。小児科病棟へ慰問に行ったアーサーは、その拳銃を落としてしまう。これがきっかけで仕事をクビになってしまった。
意気消沈した彼は、自宅に戻るため地下鉄に乗る。その地下鉄の列車の中で、とある女性が3人の酔っ払いに絡まれている場面に出くわす。
女性は酔っ払い達には関わらず無視していた。そんな時、アーサーの持病である“笑いの発作”が起きてしまい、笑いが止まらなくなってしまう。それを見た酔っ払い達はアーサーに暴行した。アーサーは、持っていた拳銃で3人を銃殺してしまう。
しかしすぐには捕まらず、犯人不明でテレビにも取り上げられ、アーサーは初めて世間に注目されるようになる…。
前半はゆったりとした気持ちで見ることが出来るが、3人の酔っ払いを銃殺するシーンあたりから、ホラー的な演出が加わる。地下鉄の列車内の電灯がチカチカ瞬く。3人の酔っ払いを銃殺した後、一人でゆったりと踊るアーサー。
作品を最後まで見ても、「ホラー映画だったのではないか?」と錯覚を覚えるほどだ。ホアキンの怪演にも驚くが、演出にも驚かされた。気分がすぐれない時や鬱病の方は今作を見ないほうがいいが、精神が安定していて、ホアキンのファンの方や洋画ファンには是非おすすめしたい作品だ。