動物世界の種族差を描く作品
物語の始まりは、アルパカのテムが誰かに殺害される場面から始まる。肉食獣と草食獣が共存し、中高一貫全寮制でもあるチェリートン学園で、犯人は学園内の肉食獣なのではと噂される。その中で雄のハイイロオオカミである主人公のレゴシは、友人であったテムの片想い相手の羊・エルスにテムの遺したラブレターを渡そうとするが、誤解を受けてしまう。エルスにラブレターを渡せ、エルスからの誤解は解け、みんなにも伝えると言われるが、それは死んだテムの片想いも周りに知られてしまうこと、またハイイロオオカミである自分は怖がられることに慣れていると拒否をする。
オオカミでありながら、捕食者である自分を嫌悪するレゴシではあるが、学園の絶対的カリスマであるルイの頼みで、深夜の演劇練習の見張りをしている際に、ウサギのハルに出会う。見張りとして捕まえたその時に捕食者としての本能が現れてしまう。その場は事なきを得たが、演劇部の美術チームであるレゴシは、新入生歓迎会のための花を貰いに園芸部へ向かう。そこで出会ったのは、自分が食べようとしてしまったハルだった。ハルに初めて雄として扱われ、恋愛感情を抱くレゴシであったが、ハルは本能的に捕食者であるレゴシを怖がっていた。また、ハルはルイと恋仲でもあった。
肉食獣と草食獣という壁は、人間の人種と近しいものを感じさせる。これから先、互いが真に分かり合える日はくるのか、私たちの社会でも大きな課題であると感じさせられる。また、テムを殺した犯人は誰なのか、それも気になるところである。